制度導入に向けた旅館の課業管理(3)

 私が担当した前の2つのコラムでは、実習生に仕事を教えるために、任せるために、現在の仕事を「課業」という観点から整理しておきましょう、という内容をお伝えしました。今回は、ちょっと視点を変えて考えてみると「仕事を教える」順番も変わるかも知れないというお話をします。

 前回は例として、宿泊業の「客室清掃」という課業(タスク)を挙げ、この課業が1「忘れ物点検」、2「備品チェック」、3「電化製品の稼働チェック」、4「清掃」、5「アメニティ設置」、6「最終チェック」に分解できるという内容を述べました。

 さて、ここで質問です。あなたが実習生に仕事を教えるとしたら1~6のうち、どの順番で教えますか。

 ここであなたの頭をよぎることの一つが「普段、この仕事を誰がやっているのか」ということではありませんか。例えば、1、2、3、4は清掃専門でお願いしているパートさん、5は社員の仲居さん、6は仲居頭か女将さん、という場合、じゃあ「1~4の中からまず・・・」となってしまいませんか。仕事の現場では必ずしも、パートさんの方が正社員さんよりも仕事ができないという訳ではないでしょうし、更に昨今では、パートさんの方に「責任が重い」仕事が与えられている組織も少なくありません。しかし、まだまだ従来のイメージから、新人は、(この後の表現、誤解を招くかも知れませんが、伝わり易くするため)社員としての階層の下の仕事から教えて、順に上に・・・と考えてしまいがちです。

 私は「教えるとしたら」と尋ねました。ちょっと意地悪でしたが「任せるとしたら」とは言っていません。つまり「教える」と「任せる」が異なることに気付く必要があります。6「最終チェック」は責任がある役目、経験も必要だから新人には任せられない、は当然でしょう。でも6から仕事を教えるとどういう効果があると思いますか。まず、お客様を迎える完ぺきな状態、つまり客室の「在るべき姿」をしっかり頭に叩き込むことができると思います。そしてその「出来上がり」をイメージしながら5までの仕事をしたらどうでしょうか。6をしっかりイメージできている人とそうでない人とでは、5までの仕事を覚えるスピードも違うと思いませんか。

 仕事を「教える」順番は必ずしも「任せる」順番と同じではないということですね。

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