技能実習制度と日本人従業員の成長
“外国人技能実習制度”の本来の目的は“外国への技術や知識の移転”ですが、「稼ぎたい!」「学びたい!」と思っている向上心の高い若い外国人技能実習生を受け入れることは、日本人従業員にもいい影響を与えます。例えば、従業員平均年齢の高い職場に、若い実習生が入社すると、若者が少ない現場に活気が生まれたりします。
また右も左もわからない、言葉も不自由な若い技能実習生に、仕事を理解してもらうためには、日本人も管理者としての自覚を持ち、かなり工夫を凝らす必要があります。支援先の中小企業製造業(名古屋市 従業員 約50名)では、30代前半の若手管理者が「『常にみられている』という意識を持って育成に取り組む」という目標を掲げ、日本人しかいない他部署の同世代と比較して、指導者としての自覚を早くから持つことができました。今では、技能実習生だけのチーム作りに取り組み、「技能実習生の後輩を指導できる」技能実習生の“リーダー”の育成にも取り組んでいます。もちろん、この技能実習生を“観る力”、技能実習生を“動かす力”を培うことは、そのまま日本人の指導にも役立ちます。
日本人しかいない職場であっても、従業員の年齢層にバラつきがあったり、性別が偏っていたり、部門が縦割りになっていたりすると、コミュニケーションも取りづらくなりがちで社内の雰囲気も沈滞することが多々あります。社内の雰囲気が沈滞した状態では、従業員の自主性は失われ、従業員同士のコミュニケーションも消極的になってしまいます。外国人技能実習生と付き合うことで、細かなニュアンスを汲み取り、お互いの気持ちを感じ伝えあうことは、コミュニケーション力を大幅に向上させます。また、語学が不十分な技能実習生を皆でサポートをする意識を持てば、社内コミュニケーションの活性化にもつながります。
単なる労働力による会社への貢献として外国人技能実習生を見るのではなく、日本人従業員の成長や社内活性化による会社全体が成長できることを念頭にこの制度を活用することも大切だと思います。
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