「いただきます」から始まる異文化理解 ~介護現場の共生ストーリー~
- 品川 忠臣

- 9月27日
- 読了時間: 2分
介護の仕事で日本に来る外国人にとっては、日々利用者との対話を重ねる必要があるため、他の職種と比べて高度な日本語能力が求められます。また、介護で働く外国人スタッフは比較的ボランティア精神が高く、笑顔が多く、表情が柔らかい人が多い傾向に感じられます。
そんな外国人スタッフの活躍する機会が増える中、介護現場での日々の業務に思わぬ良い影響を与えています。日本人スタッフが、外国人スタッフに指導する過程でより分かりやすく説明できるようにするため、日本人スタッフも自分の介護技術や説明等を見直す機会が増え、結果的に日本人スタッフのスキル向上につながっています。また、外国人スタッフに仕事を教える過程で、業務の見直しやマニュアル整備が進み、業務改善のきっかけに繋がっています。さらに、外国人スタッフに教えることで、日本人スタッフの責任感や意識の向上にも繋がっています。異文化との交流が刺激になり、コミュニケーションが活性化し、職場の雰囲気が明るくなっています。介護に携わる外国人スタッフは、スキルアップを目指す人が多く、モチベーションの高い人材が集まっているのも魅力のひとつで、日本人スタッフにも大きな影響を与えています。介護で働く外国人スタッフには、日本でずっと働きたいと思うスタッフは少なくありません。介護においては、「介護福祉士」の資格を取得すれば長期的に就労でき、結果的に永住権申請の要件を満たしやすくなります。こうしたメリットもあってか介護福祉士の外国人の試験合格者数は年々増加しています。
また、文化や価値観の違いによる影響もあります。言葉の壁以上に難しいのが「当たり前」の違いです。例えば、日本では食事前に「いただきます」と手を合わせますが、それに違和感を持つ外国人スタッフもいます。無理に合わせさせるのではなく、「これは日本の文化だけど、強制ではない」と伝えることで、互いの理解が深まります。また、文化的な違いを乗り越えるために外国人スタッフが中心になって、自国の料理を振るまってもらうレクリエーションを開催している事例もあります。外国人スタッフと日本人スタッフ、そして利用者の方が一緒に料理を作ることで、職場の一体感が高まります。こうした違いに直面したとき、最も大切なのは「話し合うこと」と「柔軟に対応すること」です。文化や価値観の違いは障害ではなく、職場を豊かにする可能性を秘めています。外国人材との共生は、介護現場に新しい風を吹き込んでいます。




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