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技能実習生の技術形成

 技能実習制度は、目的と現状の乖離や来日前の実習生負担など課題は多いが、人手不足に苦しむ中小企業に欠かせない制度である。制度目的(国際協力)と受入目的(労働供給)の乖離も「特定技能」で解消に向かい、実習生の育成・活用で技能形成を成し遂げる企業もある。受入企業が実習生に単純作業を担わせ、就労態度や意欲低下、送出国との賃金格差縮小や国際競争から良質な人材獲得が難しくなるなか、受入企業は実習生の技能形成で意欲創出の工夫がいると中原寛子氏(神戸大学大学院博士課程)はレポートしている。

 外国人研修・技能実習制度は、途上国人材の実質的な低賃金労働で低生産性企業の延命装置との批判を、橋本由紀氏(東京大学大学院博士課程)が実習生活用企業の日本人従業員の賃金水準に着目して分析している。活用企業の日本人従業員賃金は同業・同一地域の非活用企業より低く、賃金競争力に劣る企業が制度を利用する傾向が強い。一方、非活用企業の平均賃金以上も3割ほどあり、実習生と日本人従業員が効率的な業務分担で高い生産性を達成している可能性を示している。

 身近な製造事業者でも、日本人若手人材の採用のむつかしさ、やる気のなさ、基本的な生活態度の不足、すぐ辞めるなど、継続性からも海外人材に頼る企業は多い。今後、技能実習制度の活用を検討される場合、低賃金労働を単純に期待するのか、高い生産性を実現するためのパートナーとして期待するのか、自社の立ち位置を見直すとともに、長期ビジョンを掲げ、業務改善と結び付いた体制構築から始められると良いのではないでしょうか。

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